超一流の仕事人に見る『ハマり込む力』と『圧倒的努力』/【書評】天才シェフの絶対温度 「HAJIME」米田肇の物語/石川拓治 著
すごい本に出会いました。
何気なく本屋巡りをしていたとき偶然目に入った本書。
内容は、ミシュラン三つ星を史上最速で獲得した超一流シェフ米田 肇(よねだはじめ)氏の半生を描いたノンフィクション。
タイトルの『天才シェフ』というワードに惹かれ直感で購入しましたが、米田氏の濃密な半生に圧倒。
特に前半部分、米田氏の少年時代から料理の世界へ足を踏み入れるまでの道のりが衝撃的でした。
- とにかく何かにハマる、そして極める
- ストイックすぎる節約生活で600万円を2年で貯める。
- 料理学校時代の授業ノートを、プロレベルで編集
- 見えてくるのは『ハマり込む力』と、『圧倒的な努力』
- 共に襲ってくる焦燥感
とにかく何かにハマる、そして極める
1972年 大阪に生まれた米田氏。
料理人になるという夢は比較的早い段階でフォーカスされていたものの、すんなりと料理の道に入るわけではありませんでした。
米田氏は幼いことからとにかく何かにハマる性格だったようで、
- 昆虫博士と呼ばれるほど虫好きだった幼少期
- 高校時代は、数学の京大模試で全国1位の成績
- 大学時代に始めた空手では、後の世界チャンピオンですら敵わないほどの強さ
と、少年~青年期においてとにかく何かに熱中し、ただの趣味やお稽古レベルで終わることなく、文字通り極めるといってよいレベルまで昇華していました。
ストイックすぎる節約生活で600万円を2年で貯める。
大学卒業後も米田氏は料理の道へは進まず、一般企業へ就職します。
そこでの仕事はプリント基板の設計で、料理とはまったく無縁のものでした。しかし料理人の夢を諦めきれない米田氏は、料理専門学校の年間授業料の3倍にあたる600万円を貯金しようと決意。
- 一日の食費は、500円まで。
- スーパーで魚を大量に買い込み、1週間分のおかずを自炊。
- 休日以外、家のトイレを使わない(トイレットペーパーの節約)。
このような節約生活を続けた結果、わずか2年で目標の600万円に到達。平均すると1ヶ月あたり25万円ずつ貯金していたことになります。
目標の貯金額を達成した米田氏、この時点でも料理人の夢は潰えることなく、ついに料理への道へ一歩踏みだすことになります。
料理学校時代の授業ノートを、プロレベルで編集
念願の料理学校へ入学した米田氏。ここでも米田氏の『ハマり込む力』が発揮されます。
授業は毎日最前列で受講し、帰宅後ノートの内容を整理しパソコンにまとめ上げ。それを1年間欠かさず続けた結果出来上がったファイルは、まるでプロが作り上げたテキストと言っても差し支えないほどの内容だったそうです。
見えてくるのは『ハマり込む力』と、『圧倒的な努力』
以上が、特に本書の中で印象に残った箇所です。
ここで書いたのはあくまで前半部分のみで、本格的に料理の世界で奮闘する後半部分にも濃いエピソードはたくさんあります。
しかし、米田氏がまだ何者でもなかった時代に、これだけ何かにハマり込み、とてつもない努力を積み重ねていたことがあまりに衝撃的だったため、今回はこの部分に焦点を当てました。
この前半部分だけでも本書を読む価値はあります。
濃密すぎる米田氏の半生。もちろんそれはご本人の努力に裏付けされたものでただ感嘆するばかりですが…
共に襲ってくる焦燥感
すなわち、
「自分は米田氏の数%でも何かにハマり、努力を積み重ねた経験があるのか?」、と。
エンタメとして読む分には、とても面白い本ですが、正直、米田氏の歩んできた道のりと、自分の人生を重ね合わせたとき、何とも言えない焦り・不安が出てきたのも事実です。
未だ何者でもない自分、今からでも遅くはない、今生きるべき道をしっかり見据えて、努力を積み重ねていこう。そう決意させてくれるような本でした。
折に触れて読み返したい超良書です。
ブログ開設しました。
はじめまして。70k1といいます。
大阪在住、経理関係の仕事をしているサラリーマンです。
日々の中で感じたこと、雑記、悶々としたことなどについて
書き連ねていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。